はばたきの会
パリ見聞記
大谷恭一
《初体験メトロと夜の凱旋門》
10枚セットの購入で格安となるメトロことパリ地下鉄の乗車券 “un carnet” を買い求めました。ホテルから3分ほどの駅は6号線。「高架が多く、市内観光になる」との6号線メトロに乗車したのはパリに到着した11月3日の夕食後でした。やがて高架鉄道となり、線路沿いの建物越しにエッフェル塔が垣間見れるようになり、さらにセーヌ川を越える鉄橋からのエッフェル塔の輝きは圧巻でした。「こんなにも美しいものなのか」とほれぼれしたのは小生のみだでしたでしょうか。周囲に高い建物がないために全景が見通せ、堂々とした美しさでもありました。
セーヌ川を越えると再び地下に入り、終点で降りて間もなく、地下鉄は回送されていきましたが、このときも一切アナウンスはなし、乗客は各々の責任で行先を確認し、乗り降りするわけです。ロンドンの地下鉄も同様でした。日本では“汽笛一声新橋を”以来の「オホン、次はドコドコである」ピピーの伝統を旧態依然として引きずっているのかと思えました。また、多すぎる掲示看板、とくに宣伝も制限した方が方が良いなと思いました。それはとくにイギリスの町並みや郊外において印象づけられたことです。ドイツ、オランダでも同様で郊外、田園地区には、とくに景観がよいところであっても宣伝看板は見当たりませんでした。
日本では、景観の良いところなら目にとまるかという企業、業者の利己的立場から大きな看板が設置され環境をこわしていると考えます。環境はだれのものでしょうか。都市のあり方にせよ、田園地区のあり方にせよ、戦後今日まで経済優先で歩み続け、わが国が世界に誇る経済力を有するに至った今日、今後の目標を生活環境資質の充実に置くのも、21世紀に向けて大切なことと思いました。
メトロの駅から地上に出て、「ああっ!」凱旋門が予想したよりもはるかに壮大で、何よりも光の芸術により、燦然としている。参ってしまいました。パリでの第一の強烈な印象を抱くことになったのです。しばし、絶句、「すごいなあ」のため息交じりの感嘆符。このことはロンドンに着いた最初の夜、ホテルに至る途中で最初に強烈に印象づけられたことでしたが、建物が、そして街全体が光で浮かび上がり、その存在を主張しているかのごとくの様子は、光の芸術と評してよいものでした。鳥取では“仁風閣”がライトアップされていますが、県庁、市庁舎をはじめ市内の建物では可能でしょうか。建物がネオンサインで陰ってしまうことでしょうね。
《ノートルダム寺院のミサ》
翌11月4日、日曜日は快晴に恵まれた市内観光でした。パリ発祥の地であるシテ島に入り“マドンナ”という意味だと初めて知ったノートルダム寺院に到着。建物の外観も立派でしたが、中は予想だにしなかったほど「荘厳」でした。というのも日曜ミサが行われていた最中であり、オルガンの響きが形容しがたいほどの荘厳さで、体に染み入ってきたからです。と同時に、テノールソロと合唱が、石造りの寺院であるがゆえにでしょう、素晴らしい響きをもって満ちていました。「これがそうあったのか」。近年、バッハの音楽を愛好しているのですが、室内楽はよいとしてもオルガンの音には今一つ納得がいかなかたのでした。が、そのような思いが吹き飛んでしまったほどで、一時のことでしたが、小生には貴重な感動体験となりました。
《ああ、オルセー美術館》
午後は自由時間。なんとしてでもの願いが実り、貴重な自由時間をオルセー美術館に向かうことができました。やはりアムステルダム国立博物館と同様、“NO FLASH” で撮影OKということで、嬉しくなって写しました。印象派ですから、女性の絵も多く、ターゲットを女性として......。やがて、エスカレーターで最上階へ移動。ありました。ゴッホ、ルノワール、ゴーギャン等々。「なぜにこのように名作がいとも無造作に」と思えるほどの多さと身近さで、小躍りするほどの嬉しさ。日常的にいつでもここに来れるパリの人が、これほどうらやましく思えたじちがありません。屋上テラスに出て、真下のセーヌ、オペラ座方面から、さらにモンマルトルを一望しながら思ったことでした。日曜日ということで、日本なら「人出が多いからガッポリと」ということで値上げされたりするでしょうが、ここではルーブル同様、平日のおよそ半額400円足らずで入れました。イギリスでは大英博物館、国立美術館が無料でしたが、「人類共有の財産であるから、すべての人が分け隔てなく見れるように」との考えが根底にあるようでした。
パリでも絶え間ない感動体験の連続で・・・・・・。
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約34年が過ぎた今(2024/12/9)拙文を承知で、通読しつつ、備忘録として up した。
パリを主体に執筆したのは、他の団員仲間が他国・他都市を選択し、結果。小生がパリ編を担いました。
メトロ6号線の憧れを妻にも話し、彼女の還暦記念で、パリに6連泊した際、ホテルはメルキュール・エッフェル・ドゥ・パリを選択。メトロ6号線沿いの立地で、某部屋からは「エッフェル塔を眺め得る」と知り、下手な英文でリクエストし、願いがかなえられました。